思い付きの北横岳
ある日小淵沢に泊まりに行きまして。近くの日向山(標高1,660メートル)にハイキングに行くつもりだったのですが、歩こうと思っていたコースの標高差が1,000メートルくらいあることに前日に気づいて怖気づきました。
もうちょっと初心者向けの気軽なコースがいいかなー、と思って急遽八ヶ岳の北側に行くことに。目指したのは北横岳。標高2,480メートルは 日向山よりずっと高いですが、何と標高2,237メートルの場所までロープウェイで行けるので、自分の足で登るのはたったの250メートルくらい。とってもお手軽です。
というわけで、やってきました。ピラタス蓼科ロープウェイ。
申し分ないお天気の中、ロープウェイであっという間に山頂駅へ。
遊歩道の整備された坪庭にやってきました。順路に沿って奥のほうに進みます。
案内板の左側の道を選び展望台のあるほうへ。
更にしばらく歩いて、山の方へ行く登山道に入ります。
途中やや急な坂もありましたが、よく整備されておおむね歩きやすい道でした。そしてほどなく北横岳ヒュッテに到着。
11時を過ぎてから歩き始めたので、この時点ですでにお昼過ぎ。たくさんあるベンチの一つに腰かけて、コンビニおにぎりを食べて休憩しました。
ここまで来たら山頂はもうすぐ。
最後の急な階段を登ったら北横岳南峰の山頂です。
吹き飛ばされそうな強風の中、写真を撮ったりおやつを食べたりしてしばらく休憩。遠くまで景色が広がります。
でも何やら雲行きが怪しい。どんどん雲が沸き起こってすごい勢いで広がっていきます。
天気が崩れる前に下山を開始しました。
何を血迷ったか、三ツ岳へ
北横岳ヒュッテを横に見ながらなお下山すると、三ツ岳分岐にやってきました。
ロープウェイに戻るにはここを右に曲がればいいのですが、まだ少し時間もあるし、せっかくなので直進して三ツ岳に向かうことにします。
分岐地点には「この先、三ツ岳は岩場で危険です。軽装での方は入らないで下さい。」との注意書きが。でもまあトレッキングシューズも履いているし、大丈夫でしょう。
過去に八ヶ岳のニュウを登る「スーツに革靴の男性+パンプスを履いた女性」を見たり、熊本の阿蘇山で「半袖のワンピース姿で中岳登頂を果たす女性」を見たりしていたので、「軽装というのはそういうパンプスやワンピース姿のことであって、トレッキングシューズを履いてザックを背負っている私たちは十分な重装備」と思い、まあサクサク進めるだろうと判断したわけです。
というわけで三ツ岳方面の登山道へ。北横岳のにぎやかさが嘘のように、こちらの道はガラガラ。追い抜かれたのもすれ違ったのも一回だけでした。
さすがにこちらの道は岩が多くて道も細くわかりにくいです。
木も低木が多くなり、時々見晴らしの良い場所で写真を撮りながら進みました。そしてたどり着いたのは三ツ岳III峰。かなりの急峻な岩場です。
近くまで来るとこんな感じ。
垂直に切り立った岩場を、鎖を使って登っていきます。
ようやく三ツ岳III峰の頂上に到着。
ずいぶん登ってきました。
でも余裕があったのはこの辺りまで。III峰という名前からわかるように、この後まだII峰とI峰が続きます。そしてその間もずっと激しい岩場が。
三ツ岳II峰のあたりから、だんだん天気が怪しくなってきました。そして容赦なく鎖場は続きます。
行けども行けどもゴロゴロ岩だらけ。11歳の息子は「アスレチックみたい」と楽しそうですが。
歩き始めたのが結構遅かったのですでに夕方に差し掛かろうとしています。天気も怪しいし人はいないし、ちょっと焦って急ぎ足です。
そしてようやく、三ツ岳と雨池山の間の鞍部に到着。
見晴らしも悪いし、別にこれと言って面白いことがある場所でもないですが、さすがにここからはなだらかで歩きやすい道になりました。
そして最後のピークである雨池山に到着。標識がないとわからないくらいなだらかなピークです。そして見晴らしも全くありません。
ホウホウの体で下山
雲がどんどん増えていくのでとにかく大急ぎで歩きます。無事に帰れますように。
そうしてようやく、雨池峠が見えてきました。
ここまでくれば一安心。広いなだらかな道を少し歩くと、歩きやすい木道に出ます。
ほどなく縞枯山荘も見えてきました。何時間か「人間のいない道」を歩いてきた末に、ようやく「人間の世界に帰ってきた」という感じがします。
ここを過ぎると間もなく坪庭です。あれだけにぎわっていた坪庭も、このころにはもう観光客がまったくいなくなっていました。
霧の向こうにロープウェイの駅が見え、なんとか雨になる前に戻ってくることができました。